
はじめに
システム開発について学ぶ中で、「要件定義」という言葉を耳にする機会が増えました。
要件定義とは、システム開発を始める前に「どのようなシステムを作るのか」を整理し
開発者と利用者の認識を合わせる工程です。私は当初、「システムにどのような機能を
持たせるのか」を決めることが要件定義の中心だと考えていました。
しかし、学びを進める中で利用者にとって本当に使いやすいシステムを実現するためには機能だけでなく「安心して使い続けられる品質」も重要であることを知りました。
例えば、システムが安定して動き続けることや処理速度が十分であること、情報を安全に管理できることなども、利用者が安心してシステムを利用するためには欠かせません。
こうした品質に関する要件を整理し、開発に関わる人が共通認識を持ちながら
検討を進めるための指標として、「非機能要求グレード」というものがあります。
近年では、クラウドサービスや生成AIなど、新しい技術を活用したシステムが増えて
います。その一方で、便利な機能を提供するだけではなく、安定性や安全性などの
品質を確保することも、これまで以上に重要になっています。
今回の記事では、非機能要求とは何か、機能要求との違いや非機能要求グレードの
役割について、現在取り組んでいる業務との関わりも交えながら紹介します。

非機能要求とは?機能要求との違い
システムに求められる要件は大きく「機能要求」と「非機能要求」の2つに分けられます
私も最初は「要件」と聞くと、「どんな機能を作るのか」を決めることだと思っていました
しかし、調べてみると、それだけでは十分ではないことが分かりました。
まず、機能要求とは、「システムで何ができるか」を定める要件です。
例えば
- ログインできる
- データを登録できる
- 必要な情報を検索できる
といった、利用者が実際に使う機能が機能要求に当たります。
一方、非機能要求とは、「システムを安心して利用するための品質」に関する要件です。
例えば
- システムが止まらず利用できること
- 処理速度が十分であること
- 個人情報や機密情報を安全に管理できること
- 障害が発生しても早く復旧できること
などが挙げられます。これらは普段あまり意識することはありません。
しかし、どれも利用者が安心してシステムを使うためには欠かせないものです。
つまり
- 機能要求 =「システムで何ができるか」
- 非機能要求 =「安心して使い続けられる品質」
という違いがあります。
今回学んでみて、「良いシステム」とは便利な機能が多いだけではなく
利用者が安心して使い続けられることも同じくらい大切なのだと感じました。

なぜ非機能要求グレードが必要なのか
近年は、クラウドサービスや生成AI、IoT(Internet of Things:家電や機械などを
インターネットにつなぐ仕組み)の普及により、システムを利用する場面が増えていますそのため、便利な機能だけでなく、「安心して使い続けられること」も重要になっています
例えば、ネットショップで商品を検索したり注文したりする機能があっても
非機能要求を十分に考えていなければ、次のような問題が発生する可能性があります。
- 利用者が集中すると、ページの表示や注文処理が遅くなる
- 障害が発生すると、商品を注文できなくなる
- 個人情報などが適切に保護されず、情報漏えいにつながる
- システムの更新や機能追加がしにくくなる
このように、必要な機能がそろっていても、利用者が安心して使えるシステムとは
限りません。また、障害や問い合わせが増えることで運用する担当者の負担にも
つながります。そこで、開発の初期段階から必要な品質を整理し、関係者全員で
共通認識を持つために活用されるのが「非機能要求グレード」です。
非機能要求グレードでは、主に次のような品質を整理します。
可用性
必要なときにシステムを利用でき、安定して動作すること。
性能・拡張性
処理速度が十分で、利用者やデータ量が増えても対応できること。
運用・保守性
不具合の修正や更新などを行いやすく、安定して運用できること。
移行性
古いシステムから新しいシステムへ、安全にデータなどを引き継げること。
セキュリティ
個人情報や機密情報を保護し、不正アクセスや情報漏えいを防ぐこと。
今回学んでみて、「品質」と一言で言っても、性能やセキュリティだけでなく
運用や将来の更新まで幅広く考える必要があることが分かりました。

非機能要求グレードを学んで感じたこと
非機能要求グレードについて学ぶ中で、システム開発における品質の重要性だけでなく
現在、取り組んでいる業務にも通じる考え方があると感じました。
現在の業務では、手順書や資料の作成、また、業務改善などに取り組んでいます。
システム開発そのものを担当しているわけではありませんが、
「利用する人が安心して使えるようにする」という考え方は共通していると感じました。
例えば、手順書は内容が正しいだけでは十分ではありません。誰が読んでも理解しやすく更新しやすく、継続して運用しやすいことも重要です。もし内容が分かりにくかったり
更新しづらかったりすると利用者が誤った手順で作業を進めてしまう可能性があります。
このような点は、
非機能要求グレードの「運用・保守性」の考え方と共通していると感じています。
また、現在は生成AIを活用した資料作成や業務改善にも取り組んでいます。生成AIは
文章作成や情報整理を効率化できる便利な技術ですが、内容の正確性を確認することや
情報漏えいを防ぐための運用ルールを整えることも重要です。
今回学んだことで、「便利だから使う」のではなく、「安心して使い続けられる仕組みに
なっているか」という視点を持つことの大切さを改めて実感しました。
この考え方は、システム開発だけでなく現在取り組んでいる手順書の作成や業務改善にも共通していると感じています。利用者が安心して利用できることを意識しながら
取り組むことは、日々の業務の質を高めることにもつながると思いました。
今後は、システム開発についてさらに学びを深めるとともに、利用者の立場に立って
品質まで考えられるようになりたいと考えています。今回学んだ非機能要求グレードの
考え方も、これからの学習や日々の業務に活かしていきたいと思います。
参考文献
- IPA(情報処理推進機構)『非機能要求グレード2018』
- IPA(情報処理推進機構)『非機能要求グレード 活用シナリオ』
- IPA(情報処理推進機構)『非機能要求グレード ユーザーズガイド』
- IPA(情報処理推進機構)「非機能要求グレード」関連資料